はっぴーはろうぃん? 




「トリックオアトリート?」

 それは、ノックも声かけもなしに部屋に入り込んできたグラハムの第一声。

「お菓子をくれなきゃイタズラするぞ、か。残念ながらここにはお菓子の類が少なくてね。さっき食べたチョコレートが最後のひとかけだよ」
「熟知しているさ」

「……まったく、悪い大人だね」

 交わすキスは甘くもなく苦くもなく、ただいつものキスと変わりのないものだったけれど。

「ここ最近、」
「ん?」
「連日の徹夜のせいか肩が痛くてね」

 きょとんと首を傾げるグラハムは、そうしているとまるで幼い子どもを連想させてビリーは内心苦笑する。


「僕としては、ハロウィンの夜にやってくるいたずらっ子の妖精が肩揉みでもしてくれたら、嬉しいんだけどね?」