【グラハムがクジョウの話を聞いちゃったのち】
「ミスクジョウとは、どんな女性なんだ?」
「……驚いたな。君が彼女を知っているなんて」 「名前程度だ。一部では有名な人間だろう」 「確かに、ね」 「古い知り合いのようだが」 「院のころ同じ研究室にいた仲間だよ。美人で社交的な人だったけど、少し変わり者だったかな」 「……」 「能力も知識量も、素晴らしいとしか言いようがなかった。尊敬していたよ、とてもね」 「――そうか」 「どうかしたのかい?」 「いや、お前にもそんな甲斐性があったのかと思ってな」 「それは酷いな。君ほどではないにしろ、僕だってそれなりに、ね」 「ふぅん?」 「もしかして、妬いているとか」 「まさか」 「それは残念」 「心にもないことを」 「……ばれたかい?」 |