【今週、出番がなかった二人】




「出番はなかったようだね」
「そうだな」
「まあ僕としては、下手なことに時間を取られずにフラッグにかまけることができてよかったけれど」
「……なにか云いたそうだな、カタギリ?」
「別に? どこかのエースパイロット様のお陰で寝食を惜しんでフラッグをチューンすることは僕にとっては至上の喜びだからね。苦なんてものはないよ」
「ああわかった、わかっている」
「君の『わかった』と『心配いらない』ほど信用できないものはないのだけどね」
「わかっていると云っただろう? 次からは気をつけるさ。一週間ぶりであっても三度まで、とね」
「……あー……」
「どうしたカタギリ、三度では不満か?」
「……君の笑顔がこれほど憎らしいと思ったのは人生で何度目だろう……」