calling 




あなたは今、どこにいるの。






 大切だったの。大好きだったの。一緒にいられて、一緒に笑えて、すごくすごく幸せだったの。
 ちょっと困った顔が好き。私のワガママにいつだって困った顔で付き合ってくれた。それがわかってたから、私はいつもあなたを振り回して笑ってた。私が笑えばあなたも笑ってくれるって知っていたから。
 誰にでも優しくて、だけどただ優しいだけじゃないのも知ってたよ。優柔不断だって誰かが云ってたけど、本当は私よりずっとしっかりしてるって知ってた。
 初めて会ったときは、可愛い子だと思った。ひとりぼっちの留学先で、ちょっと好みの日本人の男の子を見つけて、声をかけて、そして私はあなたを好きになった。
 たぶん、ううん、きっと絶対、好きになったのは私が先。
 だから誰にも渡したくなかった。お互いに告白らしい告白なんてしてなかったけど、それでも大好きで大好きでいつも一緒にいて、この子は私のものよってみんなに見せつけてやったの。
 そうしたらみんな私があなたの彼女だって目で見てくれて、それであなたは少し困ってたみたいだけど、私はすごく嬉しかった。
 嬉しかったの。大好きだったから。ワガママだってわかってたけど、それでもあなたが大好きだったから。
 幸せだった。ずっと一緒にいたかった。留学が終わってもスペインに帰っても、私たちはまたきっと出逢って同じ道を歩くんだって、私はそう信じてた。


 信じていたの。

 信じてくれていたのに。






 ごめんね、沙慈。大切な大好きなキミ。
 私はもう前みたいにあなたの前では笑えないけれど、あなたが夢を叶えて宇宙で働いてるって知って、私すごく嬉しかったよ。
 本当はすぐにでも傍に行きたい。その手を取って、きっと大人っぽくなったその顔を見て、笑って大好きだよって云いたい。今でもずっと、大好きだよって。
 だけど今の私にその資格はないから。私にはやるべきことがあって、進むべき道があって、その道は決してあなたには繋がらないと私はもう知ってしまったから。

 だから、ごめんね。

 ごめんね、沙慈。




 だいすき。